隣家のはみ出した庭木は民法改正で切れるようになったのか!?

4月1日に民法が改正されました。

マンション管理士でも必修の民法で、イの一番に出て来る例題が、「隣家のはみ出してきた木の枝を切り取ることはできるのか」というヤツ。

弁護士ドットコムのサイトに、その例題を使った記事が掲載されていました。

イの一番の例題の正解は、これまで「地中の根っこは切っても良いけど、枝はダメ」というものでした。

それが今回の改正で、「一定の条件が揃えば、竹木の所有者の同意を得ることなく、越境した枝を切除することができる」となったのです。

もちろん、勝手に切るのは改正前も後もNGです。

では、一定の条件とは何か?

大前提として、問題となっている竹木の所有者に「枝を切ってくれ」と求める必要があります。

他人の所有物なので、所有者が責任をもってこちらの要求に対処してくださいね、という段階を踏むわけです。

その要求は、「相当の期間」が必要とされます。相当の”とは、一般的に2週間程度とされます。要求を出したことと出した日付をあとで証明できるようにしておく必要がありますね。

それでもできない場合、つまり、1)相当の期間を経ても処理していない、2)所有者がわからなくて要求できない、3)急迫の事情がある、というケースが認められた場合に、ようやく隣家のはみ出た竹木を切ることができるようになります。

この切除に関する処置は、はみ出され側の所有者はもちろん、賃借人も可能です。

切除にあたって、隣地への立ち入りは、必要な範囲内で認められます。

こうした一連の行為は、民法に則って行うため、隣地の所有者及び使用者に対して「隣地を使用する目的、日時、場所及び方法を通知しなければならない」と定められているからです。

費用に関しては、竹木の所有者に対して請求することができます。こちらの都合で勝手に切ったとしても、他人(つまりはみ出され側)に損害を与えた不法行為、他人に損失を与えた不当利得を主張できるからです。

未払いの場合には、裁判を起こして払ってもらうことになります。裁

判を起こせるということは、手順に不備がなければ勝訴できるというわけです。

ただ、切除した枝などについては、切り離した瞬間からはみ出され側(切除した人)の所有になりますので、責任をもって処分けなければなりません。

以上のように、これまで地上ではみ出た邪魔なものは勝手に処分できなかったものが、きちんと手順さえ踏めば処分できる可能性が広がりました。

あくまでも、無警告で勝手に処分できないことは、十分に留意しておかなければなりません。

また、いきなり内容証明郵便などを送るのではなく、冷静に事情と要求を隣家に伝え、余計な争いを起こさないように心掛けるのも重要かと思います。勝てる訴訟だとしても、手間と時間がかかってはコスパが悪いですから

ね。

いちばん重要なことは、交渉のとっかかりからメモや録音、写真や動画で記録を残しておくこと。これ、どんなときでもとても大切ですから。