東京23区なのに限界集落!? 集合住宅に住み続けることの“限界”について

アベプラをチェックしていたら
都内の団地を扱った話題がありました。

場所は東京都大田区東糀谷。

羽田空港に近い、決して辺鄙な
エリアではありません。

ここに建つ団地は、入居者の50%以上が
65歳以上という高齢化の物件で、
番組では「限界集落」になぞらえ、
入居者や周辺を取材して、問題を
あぶり出していました。

限界集落とは

そもそも限界集落というのは、
社会学による山村集落を分ける
考え方で、「65歳以上が過半で
生活の担い手の確保と社会的共同生活の
維持が困難になっている集落」を
差す用語として生まれました。

生活の担い手がいなくなり、
社会的共同生活も維持できなくなれば、
「消滅集落」となってしまいます。

この状態を団地にも当てはめたのが、
この番組というわけです。

限界団地の問題点

限界団地には、限界集落と同様の
問題が発生します。

買い物難民の発生やゴミ出し困難など、
社会的なサービスが届きづらい状態に
なってしまうことです。

実は、団地には法的にそのような
状態にならざるをえなかった経緯が
ありました

1996年に改正された公営住宅法で、
世帯収入の上限が上げられたため、
若い世代の独立に拍車がかかった
というのです。

公営住宅は、公営住宅法に基づいて
生活に困窮する人に対して
地方公共団体が整備して賃貸・転貸
するものです。

なので、所得の多寡が問題視され、
法改正で低所得層への供給に
厚い入居条件に改められた
というわけです。

この所得の制限は団地全体の
割合を基準に決められるため、
年度ごとに申告が行なわれて
入居条件を満たすかどうかを
諮られるというめんどくさい
システムのようです。

ただ、子どもが社会人になれば
必然的に世帯の収入は増加するので、
入居条件に引っ掛かるために
公営住宅から出て行かざるを
えなくなるというわけです。

改善的

こうした現状を打開するため、
都営団地では2022年3月から
都内5大学と協定を結んで、
学生を入居させる作戦を展開。

地域活動への参加が条件となっているので、
貧乏学生の救済ではなく、社会実験として
団地の困りごとをなんとかできないか
取り組み始めたというところです。

ただ、高齢の先住者には若い入居者への
抵抗感や嫌悪感も少なくないようで、
限界集落のもつ“田舎の閉鎖性”と同様の
問題も浮かび上がってくるようです。

番組ではUR都市機構の例には
触れていなかったのは残念。

民間の分譲マンションでも同様の
問題を抱えているため、
さらに掘り下げて取材していただける
ことを期待したいと思った次第です。