マンション管理士試験の滞納管理費に関する区分所有法・民法・判例についての出題は得点源として正解率を上げられるチャンスにしたいところです

今年のマンション管理士試験は、「平成28年11月27日(日)午後1時〜3時」で実施されます。

当サイトでは、2015年(平成27年)の試験で出題された問題を解説して、この国家資格の受験を少しでもサポートできればと考えました。

また、試験を受けるつもりはないという人にも、マンション管理に役立つ基本的な知識を身につけるいい機会となりますので、ご一読いただければと思っています。

では、本日の解説はこちら。

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問10の問題の分野と難易度

2015年のマンション管理士試験の問10は、滞納管理費に関する区分所有法・民法・判例についての出題です。

難易度は、得点源レベル。ぜひスラッと解けるようにしておきましょう。

問10の問題文

 

〔問 10〕 甲マンション管理組合(以下「甲」という。)の区分所有者Aに対する滞納管理費等の請求に関するマンション管理士の次の意見のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲の規約は、標準管理規約と同様であるものとする。

 

誤っている肢を選ぶ問題です。

 

問10の選択肢と解説

 

1 甲は、Aに対して未払金額とそれに対する規約所定の割合による遅延損害金、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して請求することができます。

甲=マンション管理組合は、その管理する区分所有者に対して、滞納している管理費といった未払いになっている金額と、それによって発生する遅延損害金、違約金としての弁護士費用及び督促・徴収などにかかった費用をそれに加算して請求できると標準管理規約に記しています。なので、○。

2 甲は、Aに対して違約金としての弁護士費用を請求することができますが、これは、契約上の金銭債務の不履行による損害賠償として弁護士費用を請求する場合と同様です。

金銭の債務不履行の損害賠償請求の場合、弁護士費用は相手方に請求できない者という判例が出ています。これは、契約上で「弁護士費用を含める」とした場合とは異なります。なので、×。

3 Aが違約金としての弁護士費用の支払いを遅延したときは、甲は、Aに対して民法所定の割合による遅延損害金を請求することができます。

違約金としての弁護士費用の支払い遅延は、遅延損害金請求の対象となります。その際には、民法に決められた年5%の割合の遅延損害金を請求できます。なので、○。

4 Aの滞納管理費等に係る債権の時効による権利消滅の効果は、5年の時効期間の経過とともに確定的に生ずるものではなく、時効が援用されたときにはじめて確定的に生じます。

管理費は、管理組合の組合員に対する債権です。これは、月ごとに管理組合が決めた方法で支払われることになっています。つまり、1年より短い期間で定められた金銭等の債権ということになります。この債権は、5年間行使しないと消滅します。そして時効は、当事者が援用しなければ確定的に生ずるものではありません。なので、○。

問10の正解

問10の正解は、2となります。