平成26年度管理業務主任者試験問題[問11]過去問解説
平成27年(2015年)の管理業務主任者試験が平成27年12月6日(日)午後1時から3時の予定で実施されます。
この資格試験は過去問(過去の試験での出題)のチェックが有効な対策と言われています。
実際に私も過去問を中心に追い込み勉強をして、無事に合格することができました。
このブログでも今年受験を予定している人のため&自分の復習のために、平成26年の問題をチェックします。
(問題部分の画像はクリックで拡大できます)
問11は、管理費の滞納対策について適切なものの組み合わせを選ぶ問題です。
アは、滞納者が自己破産の申し立てをした場合は、滞納管理費の請求はできないかどうか。
破産した場合、請求されている滞納管理費は「破産債権」となります。そして、「破産債権者は、その有する破産債権をもって破産手続きに参加し、配当を受けることができる」と定められています。なので、破産しても滞納管理費は請求できます。
したがってアは、「不適切」となります。
イは、区分所有者に行なっている滞納管理費の請求を、規約の定めがなくても該当する物件の賃借人に対して行なえるかどうか。
滞納管理費の請求は、本人のほかに特定承継人に対しても行なうことができます。しかし、賃借人は特定承継人には該当しません。ということは、滞納管理費を賃借人に請求することはできないことになります。これは規約で決めても無効を主張されます。
したがってイは、「不適切」となります。
ウは、管理費滞納者から、「滞納して済みません」と書いたメモと一緒に滞納した管理費の一部として金銭が支払われた場合、「滞納額全額について消滅時効が中断する」かどうか。
滞納した管理費と認めて支払われた場合、これは「債務の承認」となります。債務が承認された場合、その債務は全部について消滅時効が中断します。
したがってウは、「適切」となります。
エは、管理費滞納者が行方不明の場合でも、裁判所に請求の訴えを起こすことができるかどうか。
訴訟の相手が行方不明の場合、公示送達によって訴状を送達することが認められています。これにより訴訟は係属させることができると民事訴訟法に定められています。
したがってエは、「適切」となります。
オは、管理費を滞納している区分所有者が時効前に該当物件を売却した場合、時効は改めて売却時から起算されるかどうか。
消滅時効は、「権利を行使することができるとき」からスタートします。所有権の売却は滞納管理費という債権とは関係しないため、時効の中断事由にはなりません。管理費の滞納に関する消滅時効は管理費の支払日から起算されることになります。新たな買主に所有権が移っても、これは変更されません。
したがってオは、「不適切」となります。
適切な肢は「ウ」と「エ」となり、問11の正解は「肢3」となります。