5分でわかる「マンション管理組合の地域コミュニティとの関わりについての総務省と国交省の“睨み合い”」
これまで、地域コミュニティにとってマンションは「ちょっと変わった住居」にすぎませんでした。
そもそも町内会など地域を管理する“自治会”は、世帯単位であることが前提。
1つの建物に複数の世帯が同居していても、血縁であれば家長が代表するというように、体系を乱す要素が少なかったことで、トラブルも少なく、トラブルがあってもシンプルに処理できたものと推測されます。
しかし、地区内に複数の世帯が別居の状態で固まっているマンションという存在が増えるに従い、“自治会とマンション”の人口比率が肉薄、あるいは逆転する状況になっています。
こうした背景を受けて、解決を急がなければいけない問題として浮上しているのが、マンション居住者と自治の問題です。
まず、住んでいる人を管轄する行政は総務省。もともと自治省だったところが、2001年の中央省庁再編で移行されました。
自治省は戦前の内務省の系譜を継ぐもので、戦後まもなくの部門の再興の際も旧建設省とひと悶着あったようです。
内務省の目的は明治政府による国民の監視の強化であり、自治省の流れは行政サービス(警察や消防)以外の部分を担う、いわゆる国民生活を取り締まる部署としてのプライドをもっていた部門であることがわかります。
一方で国交省は、内務省国土局が戦後に建設省として分離し、中央省庁再編で国土交通省となったもの。
前述のひと悶着は、1950年代半ばに自治庁が省への格上げを画策した際のことで、人事ポストが絡んだ根深いものだったようです。
ちょうどその頃から数が増えていったマンションでは、町村単位の自治の概念が薄かったため、権利関係を整備する目的で1962年に「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」が施行されます。
この法律は、権利関係のトラブルを押さえる目的で民法を補完する内容だったため、自治に関する規定は行なわれませんでした。
そもそも自治に関しては、別に地方自治法というものがあったため、触れないことが当然でもあったわけですが、1947年の地方自治法では想定できないタイプのマンションという“集落”の扱いを定められないまま現在に至っているというのが現状なのです。
この記事では、自治会の矛盾をわかりやすくまとめているので、ご参照を。
また、前に書いたこのあたりの記事が関係していますので、併せてお読みください。