マンション管理組合が加入するマンション総合保険の個人賠償責任補償特約は頭の痛い問題です

マンション管理組合で加入するマンション総合保険については、金額も大きいことから、理事会や総会で話題になることも多いですよね。
まずは、加入するかしないか。
修繕や事故について補償してくれるわけですから、入らないという選択肢はほぼナシでしょうか。修繕費が潤沢だったり、築浅だと「要らないよね〜」となるかもしれませんが。
でも、あとから入ろうとすると、たいへんだったりしますから。それに、事故が起きてからだと、それは補償されませんし。
この保険についての状況を、うまく表現している記事があったので、ご紹介します。

 

 

築年数がかさんでくると、主に水漏れ事故などが多発するようになってきます。
原則として管理組合に関係する事故は共用部分だけなのですが、事故は専有部分と共用部分を分けて起きてくれるわけではありません。
専有部分の事故は専有部分で、つまりそれぞれのオーナーが責任をもって対処すべき──というのが建前なのですが、現実はそうもいかなかったりするからやっかいなのです。
先日のある管理組合理事会でも水漏れ事故の問題があがっていましたが、それも共用部分の事故ではなく、上下階の専有部分のものでした。
個人賠償責任補償特約は、「専有部分はオーナーと賃借人が保険に加入して対処すべき」が原則であるところを、それが徹底できないという実状を補完するもの、という「両刃の剣」であると言えます。
この特約を付けなければ、格段に保険料は安く済みます。
しかし、専有部分の保険に入っていない部屋で起きた事故が解決しない場合、管理組合は手出しができなくなります。
つまりメリットというのは、専有部分の事故の処理が長引いて建物へのダメージが広がらないように、管理組合主導で事故の処理を進められる──ということ。
そのための負担が大きくなっているは、築旧のマンションが増えて、調査費や修繕費への保険支払が増えているからですね。
すでに5〜6年前から、マンション総合保険の大幅値上げは問題になっていて、私は個人的にこの保険が(保険会社の運営的に)続けられないのではないかと心配していたほどです。
しかし、敵もさる者(笑)
おそらくこの個人賠償責任補償特約で「保険の必要性」を訴求できる、と踏んだのではないでしょうか。もちろん、値上げをしても受け容れられるという前提があってのこと。
事故発生率の計算は、おそらく保険会社のほうが優れているに違いありません。管理組合の理事による妄想レベルで判断してしまうのはリスク管理の点でオススメできません。
ただし、保険も全面的に事故をカバーしてくれるわけではないので、予防的修繕も考えながら、オーナーには「専有部分の保険加入はオーナーの義務」という認識を共有するための広報をするなど、手を打つべきでしょう。
理想は「専有部分の保険はオーナー、共用部分の保険は管理組合のマンション総合保険、個人賠償責任補償特約はナシ」として、最低限のリスク管理を最小限の保険料で管理組合が行なう、というものでしょう。
自分が関係するマンションの管理組合に対する組合員(オーナー)の風当たりによって、対応が異なるというのが現実かもしれませんが……。