マンション管理会社にとって最前線の管理員の育成に熱が入らない理由とは?

 

あなたのマンションには管理人さんがいますか?

管理人、正式には管理員というお仕事、以前は住み込みというイメージが強かったものの、最近では通いで週に何回か、時間を決め手というスタイルが一般的なようです。

「マンションは管理を買え」というアドバイスを参考にするとすれば、その“顔”とも言うべきところに位置しているのが管理員ということになるのではないでしょうか。

実際に、私が関与しているマンション管理組合の物件で、管理員のいないところは1件だけです。実はその1件、自分が住んでいるところなんですが。。。

管理員に関するトラブル(管理組合の不満)は、わりとよくあるものです。

人に拠るところが大きいので、良し悪しを一概に言えないというのが個人的な意見だったりしていたのですが、こんな記事が目に止まりました。

 

 

例によって煽り気味の論調になっているのですが、なかで気になった一文がこれ。

 

実は「素晴らしい、行き届いた管理員」では困るというのが、管理会社の本音だ。

 

考えてみれば、管理組合にとって管理員の評価が高いということは、「かゆいところに手が届く」というサービスを提供している場合でしょう。

つまり、安い料金で便利屋さんを常駐させている感覚になれる場合が、満足度を上げていると言えるのです。

この記事によれば、こうした状態を管理会社は良いと思っていないということになるわけですね。

 

居住者がフロント担当者より、その管理員に信頼を寄せるなら、その管理員は会社から「やるな!やりすぎるな!」と注意されるだろう。あまり管理組合側に立たれては困るということだ。

 

なるほど、フロントがやりにくくなるということなのですね。

まぁ、そうでなくてもフロントは多数の物件を担当して、その物件の関与がどうしても手薄になりがち。

各マンションには、管理については「そこそこ」でやっておいてくれたほうが波風が立たないというところかもしれません。

なんたって、管理員は管理会社が雇って派遣しているのですから。

 

管理会社から見た理想の管理員像とは、清潔で挨拶ができ、愛想が良く、整理整頓が普通にでき、そして余計なことはしない、しゃべらない人だ。

 

当たらず障らず落ち度無く、というのが理想なのかもしれませんね。

管理組合にとっても、その管理員が永久に担当してくれるとはかぎらないわけですから、過度に依存するのは危険と言えるかもしれません。

この記事で参考になるのは、「管理会社に不満があって変更する場合でも、気に入っている管理員ならそのまま残ってもらう条件を付ける」というもの。

ただし、記事でも言及しているように、新しい管理会社と管理員の関係は微妙になって、トラブルの火種になりかねないから注意したいところ。

そして、その管理員が辞めるときも来るわけで、その時点では管理組合の要望は管理会社にとって「あくまでも参考」にしかすぎなくなるわけです。

これから住人の高齢化が進むことが懸念されています。

高齢化ということは、そのマンションにいる時間が増えるということ。

ということは、管理員と顔を合わせることも多くなることを意味します。

機会が増えれば遠慮もなくなり、相手のアラも見えやすくなるでしょう。

個人的には、管理員も同じマンションの住人と同じという意識をもって、「ご近所づきあい」という距離感を保つべきだと思っています。

もちろん、隣の奥さんの洗濯物の干し方や玄関先の掃除の仕方に「イラッ」とすることもあるでしょう。

でも、それを小姑よろしくいちいち指摘しては、ご近所トラブルを招きかねません。

そのへんはオトナのお付き合いを心がけたいものです。

ただ、管理員である利点は、業務で派遣されているというところ。

人情ではなく、業務の遂行という点で良いところは評価し、悪いところは改善してもらうべく上席である管理会社に申し入れることができる関係です。

その線引きをきちんと、お互いにわきまえておきたいものですね。