観光庁(国土交通省)が住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)を策定しています

 

6月16日公布の住宅宿泊事業法にともない、観光庁がガイドラインをリリースしているので、シェアしたいと思います。

 

参照:「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」を策定|観光庁

 

これは、リリース元が観光庁であることからもわかるように、民泊を推進して日本の観光ビジネスを推進しようという目的で書かれているものです。

 

2020年の東京オリンピック&パラリンピックに備えて、海外旅行客の積極的な呼び込みに伴い、不足している滞在施設の保管として政府が考えているのが、一般の住宅を流用した民泊です。

このガイドラインでは、民泊を行なうための登録要件や、どんな場合だと違法になるのかなどを周知しようとしています。

 

新規参入を促す場合には、こうしたガイドも必要となり、それをきっかけに算入が加速する、という図式があるわけです。

しかし民泊の場合は、ちょっと事情が違うのではないでしょうか。

というのも、こうしたガイドラインがリリースされる背景には、不安視する管理組合などの勢力がかなりあると思われるからです。

というのも、この民泊推進というスローガンでは、分譲マンションと1棟所有の権利の違いがちゃんと考えられていないままに進められたような印象が拭えない、というのが正直な感想だったりするからなのです。

それが証拠に、平成29年9月にリリースされた国土交通省の文書では、この点について推進側と反対側の両方に配慮すべきという内容の指導がなされているのです。

 

住宅宿泊事業に伴うマンション標準管理規約の改正の概要について|国土交通省

 

この参考資料では、「住宅宿泊事業を実施する場合」と「住宅宿泊事業を禁止する場合」の2パターンのひな形が示されています。

そして、住宅宿泊事業を実施しようという区分所有者がいた場合には、その届け出の際に管理組合が民泊を許可している証明書の添付を必要としています。

具体的には、平成30年3月の届け出開始の時点で、規約に許可とうたっているマンションでなければ受け付けませんよ、といっているわけです。

規約改正は総会の特別決議が必要なので、簡単にこの準備が出来ないことも考えられます。

それをふまえて、国土交通省では、理事会決議など、マンション管理組合の総意が示されているのであれば、規約にこだわらないというラインまで、譲歩していることがうかがえます。

従って、2020年に向けて、水面下での民泊と分譲マンションの管理組合との諍いは続いていくことが考えられます。

既成事実を放置してトラブルを膨らませないためにも、「あれ?」と思っている分譲マンションの管理組合は、管理組合理事会に掛け合うか、管理会社に訴えるか、マンション管理士に相談するといった対策を講じるべきでしょう。