蛍光灯の製造&輸入が2020年度までに禁止される件についての真偽とマンション管理組合の対策について

 

2015年11月26日に総理大臣官邸で行なわれた第3回「未来投資に向けた官民対話」で“2020年までに白熱灯(白熱電球)と蛍光灯(蛍光ランプ)の製造中止”という方針が伝えられたの報道があり、話題になっていました。

 

マンションの共用部では蛍光灯を大量に使っていることもあり、この報道に対して敏感に反応したようすがうかがえます。

 

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私もこのニュースをきっかけに、LED電球への変更に関する注意点をまとめようと調べ始めたら、意外にも「“2020年までに白熱灯(白熱電球)と蛍光灯(蛍光ランプ)の製造中止”はデマだった」という記事が出ていることを知りました。

 

蛍光灯が入手できなくなるウワサの真偽は?

 

そこで、ホントに蛍光灯が入手できなくなるのかどうかを探っていくと、業界団体の見解があったので見てみましょう。

 

蛍光灯製造に関するマスコミ報道に対するご説明|一般社団法人日本照明工業会

 

これによれば、政府の推進する“トップランナー制度”によって照明製品を一本化するという見解が示されたが、具体的に2020年に白熱灯(白熱電球)と蛍光灯(蛍光ランプ)の製造を中止するという内容ではなかったことを管轄官庁である経済産業省に確認したそうです。

 

経済産業省の見解はこちら。
「蛍光灯は禁止?」の誤解|経済産業省

 

2015年11月26日に行なわれた第3回「未来投資に向けた官民対話」については、首相官邸のサイトにアップされている内容を見るかぎり、確かに“中止”というニュアンスは感じられません。

 

住宅の省エネを促進してまいります。来年度にトップランナー制度を白熱灯へ適用します。2020年までに、ハウスメーカー等の新築戸建の過半数をネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化するとともに、省エネ・リフォームを倍増させてまいります。

 

引用:未来投資に向けた官民対話(平成27年11月26日)|首相官邸

 

もうちょっと突っ込んだ見解が出ていたのかもしれませんが、意見交換を目的とした“懇話会”で規制を明言するとは考えにくく、別の意図かメディアの“勇み足”であるほうが腑に落ちやすそうです。

 

ただ、将来的な省エネ社会をにらめば、当然こうした方針に沿って進められることは予想されます。

 

LEDへの移行は、この問題を保留できる時期は終えた、と考えたほうがよさそうです。

 

マンション管理組合が注意すべき蛍光灯のLED化

 

この話題を耳にして、多くの人はこう思っているかもしれません。

 

「まだ使える蛍光灯をすぐに換えるのはもったいないが、もともと蛍光灯の寿命は1〜2年ぐらいだったはず。だったら、電気代が安くなるLED電球に換えるのは大歓迎だし、段階的に無理なくできるんじゃないの?」

 

たしかに蛍光灯とLEDランプ、同じような形をしていて、そのまま取り替えればよさそうなのですが、実は簡単に考えるとたいへんなことになるそうなんです。

 

東京都庁のサイトでは、この件に関して次のような注意喚起を行なっています。

 

正しい組み合わせで直管形LEDランプを使いましょう|東京くらしWEB

 

ランプだけをLEDに替えるときに注意しなければならないのは、取り付ける側の器具の種類。

 

蛍光灯の取り付け器具には「スタータ式」「ラピッドスタート式」「インバータ式」の3種類があります。

 

それぞれの器具に合わないLEDランプを取り付けてしまうと、うまく点灯しなかったり、器具やランプが故障したり、消費電力が増えてしまったりするそうです。不具合の調査事例は「直管形LEDランプの取付方法に関する調査結果|東京くらしWEB」を参照してください。

 

器具ごとLED対応に変更するというマンション管理組合もあるようですが、電気代の節約でその費用を回収できる期間を考えると、それほど急ぐ必要はないでしょう。

 

むしろ、こうしたLED化の流れが話題となったことで、規格の統一や安全性に優れた新製品の登場、価格の安定化なども期待できます。

 

少なくとも今回の騒動で業界が「のんびり構えてはいられなさそうだ」という認識を持ったでしょうから(それが政府の狙いだったのかもしれませんね)、マンション管理組合の理事会で取り上げるのは、新規格や新製品が出そろってからでも遅くはなさそうです。