[注意!]ローンを払わなくてもいいという不動産投資などありません

 

2014年のオレオレ詐欺などの特殊詐欺と呼ばれる一連の事件の被害額は500億円を超えたそうです。

 

6920353936_dbbf80a130_m photo by Made in Plute

 

その一方で、手口はますます巧妙化し、被害額が判明していない事件(というか事件にすらなっていない)ものが増えているとも言われています。

 

そのひとつの例として「HARBOR BUSINESS Online」の記事が挙げているのが、「個人再生詐欺」。

 

個人再生の手続きを使った詐欺の手口

 

手口はこうです。

 

不動産投資セミナーに参加すると、講師が話したのが「ローンを払わないで資産を増やす」という夢のような話。

 

いわゆる“個人再生”を使って、まんまと借金をチャラにしましょうという内容のようです。

 

狙われているのが棟をいくつも所有している資産家。現金化をしようと最近のマンション投資マーケットのようすを知るためにセミナーに参加するという前向きな姿勢が、かえって落とし穴にはまってしまうという不幸な例のようです。

 

一部を現金化しておこうという考えは、昨今のマンション価格高騰の情報を耳にすれば当然の行動と言えるでしょう。そこにつけ込むのが詐欺師というわけです。

 

相談する必要がある人は、借入金が残っていることが多いと思います。残債と売却金額のバランスがどうなるのか(諸経費や税金を含めて)を知りたいから専門家を頼るのですが、その頼った先が騙しを目的としていたら、ひとたまりもありませんね。

 

ターゲット・オンされた相談者は残債が売却金額で相殺できないこと、物件の価格がどんどん落ちることなどを挙げて(もちろん、その根拠は明確ではありません)、相談者を不安に陥れ、「任せてもらえれば最も残債が少なくする処分をしてあげる」ともちかけるわけです。

 

弁護士事務所も同じ穴の狢というのですから、これでは素人はほぼかなうわけがありません。

 

ちなみに個人再生とは、個人債務者再生手続きといって、再生計画を立ててこれを裁判所が認めれば、一定の期間(3〜5年)の後に残りの借金が免除される、という手続きです。2001年に制定された新しい制度で、一定の収入を将来にわたって得ることができる5000万円以下の個人債務者が、住宅ローン特別条項を活用するなど、いろいろと要件があります。

 

アドバイスどおりに口座を空にしておくと最悪の事態に

 

以前は自己破産しか選べなかったものが、選択肢が広がったことで、資産をもっている人には「いざとなったら使える手」のように耳にしていた情報だったかもしれません。

 

しかし、中途半端に知っていると、騙されやすいということにもなりかねません。

 

相手は「個人再生の手続き中にローン会社からの引き落としがあると、計算をやり直さなければならなくなる」などの理由で、家賃が振り込まれる口座を変更させます。

 

これもまた、手続き上必要だから元々の口座は空にしておかなければならないなろうなあと、いいように解釈させてしまうわけです。

 

ところが、数ヶ月するとローンが支払われていないわけですから(家賃の口座が空なので)、当然ローン会社は契約不履行として残債の一括返済という段階へ進みます。

 

ローン会社の契約のほうが強いので、「個人再生をしている」という言い訳は通用しないので、この時点で資産家の相談者は売却して一括返済をしなければなりません。

 

もちろん、コンサルティングしている相手の詐欺師が物件の売却を担当しているので、そこが安く叩いて買い上げ、転売して儲けるーーという仕組みということです。

 

泣き寝入りしないようにセカンド・オピニオンなどの対策を

 

なんとなく腑に落ちなくても、最初に「売らないとたいへんなことになりますよ」という言葉が頭に残っていて、「これがたいへんなことなんだ」と納得してしまったりして、事件化しない原因になっていたりするようですね。

 

どこかで気づけば、最悪の叩き売りは免れるかもしれませんが、いずれにしても「課税金額の圧縮」は適法に可能ですが、「負債の圧縮」はそれほど簡単にできるものではないことをちゃんと勉強してから実行に移すべきでしょう。

 

参照:小金持ちを狙う“個人再生詐欺”の手口|HARBOR BUSINESS Online