マンションの人的トラブルを軽減するために自治会的な組織の役割は今後ますます大きくなるかもしれない

 

高齢化の問題がマンション管理にも及んでいます。

 

マンションの「認知症トラブル」 防止策に独自の「居住者台帳」整備も|dot.

 

4397210771_aedc8ce471_m photo by Funky64 (www.lucarossato.com)

 

 

国土交通省が5年ごとに実施している「マンション総合調査」によると……

 

「世帯主の高齢化率は年々上がっていて、2013年度は60歳代以上の割合が全体の半数を超え」ているそうです。

これは日本全体の人口割合を見ても同じような比率であるはずなので、うなずける数字でしょう。

 

このような状況で問題になるのが「孤独死」という指摘。

 

しかし、管理組合は建物と土地の維持管理を目的とした集団なので、自治会的な介入が難しかったところで、「孤独死」に立ち入れない雰囲気があったわけです。

 

記事では「住民同士で高齢者の生活支援に力を入れているマンション」として「よこすか海辺ニュータウン」の一画にある「ソフィアステイシア」(神奈川県横須賀市)」の例を挙げています。

 

このマンションは05年、管理組合とは別に「自治会」を発足させた。その傘下にある「長寿会」が、介護・認知症予防体操などのサークル活動やイベントを定期的に催している。趣味を楽しむだけでなく、高齢者のひきこもりや孤独死を防ぐための見守りや安否確認を兼ねている。

居住者は管理組合と自治会の両方に加入し、両組織をつなぐ“パイプ役”として兼任理事が設けられている。

 

管理組合の不備を補完する意味で自治会を発足させたという例は検討に値すると思います。

 

マンションのルーツである公営団地では、管理組合より先に自治会が存在していて、後から法律によって無理やり作られた管理組合よりも“町内会”として機能していた自治会の存在感が強いという状況が現在でも多いと思います。

 

しかし、マンションが増えるに従って近所付き合いが薄くなり、自治会が敬遠されるようになると、事務的な管理組合の活動のみが残っていったというのが現状の体勢かもしれません。

 

私も当初はこの二重性に混乱して、自治会は「邪魔だ」と思っていたのですが、居住オーナーと外部オーナーの連携なども視野に入れると、管理組合ではフォローできない部分を自治省管轄の町内会的な位置会で補うのは現実的で有用であると考えるようになりました。

 

千葉県ではマンションの自治組織に対して一定の権限を与えるなど、自治会の認知度も上がっているのが現状といえるでしょう。

 

管理組合は権利者(区分所有者)を守るための管理団体であるのに対して、自治会は住んでいる人たちの共同体的な存在になり得るので、関係法令に制約されずに動ける自由さは活用すべきだと思います。

 

記事では、居住者が連携して徘徊するご老人に対処していたという例を挙げて、自治会が機能しているという論調だったにもかかわらず、最後は離れて暮らしていた息子に連絡して施設に入れてしまったというオチなんですが、これって、ちょっと破綻してるんじゃないですかね、「週刊朝日」さん。。。(笑)