マンション管理費の滞納に悩む理事長が取るべき手段はまず時効の中断

 

マンション管理組合の多くが抱える問題に、管理費等の滞納があります。日本経済新聞にこれを扱った記事がありました。

 

滞納続くマンション管理費、管理組合が取るべき道

 

204690293_e53dccdf70_m photo by dhammza

 

理事長に就任すると3年ほど管理費を滞納している区分所有者がいて悩んでいるという……

 

例をあげて、どのような選択肢があるのかについてが書かれています。

 

管理会社に管理を委託している場合、標準管理委託契約書には滞納の督促も記載されています。

しかし、管理会社に滞納を解消させる義務はなく、6ヶ月程度の督促が業務として含まれているだけ。

 

当事者は理事長と滞納している区分所有者なので、回収できないと理事長の責任になります。

 

理事長の責務を果たすためには、まず滞納の事実を書類などで確認して(管理会社へ問い合わせ)、事項を止めるための措置を講じる必要があります。

 

具体的には以下のとおり。

1)内容証明等で滞納の事実を通告。

2)簡易裁判所に支払督促を申し立てる。

3)地方裁判所に強制執行を申し立てる。

4)競売の落札者から滞納金を回収する。

 

もちろん、1〜2のあいだで滞納者からの支払があれば、そこでひとまず問題はストップします。“ひとまず”というのは、全額回収および滞納の継続という問題をクリアしないと解決しないからです。

 

記事では、途中での和解に関しては、公正証書を作成しておくことを勧めています。

 

 まず簡易裁判所に「支払督促」を申し立てるのが一般的です。この手続きは書類審査だけなので、法廷に出ていく必要はありません。仮に滞納された管理費が50万円であれば申し立ての手数料は2500円。Bさんが2週間以内に異議を申し立てなければ、裁判所の権限でBさんの預貯金や給与などを差し押さえることができます。

もっとも、預貯金は口座がある金融機関と支店、給与は勤務先が分からなければ差し押さえることができません。そこで、Bさんのマンション住戸を競売にかけることになるのですが、競売での売却代金よりも住宅ローンが多く残っていると、滞納された管理費は回収できません。住宅ローンの返済が優先されるからです。

この場合、区分所有法では新しく所有者となる競売の買い手が「特定承継人」としてBさんの滞納した管理費の支払い義務を負うことになります。ただし、滞納している管理費などが多いと競売にかけても買い手が付きにくくなるかもしれません。

 

これまでの経験では、支払督促で解決できるケースは少ない感じです。強制力が弱いのが原因ではないでしょうか。

 

最近では、債権回収に強い弁護士事務所に依頼することも増えています。額が少ないと引き受けてくれないこともあるようですが(そこは弁護士事務所もビジネスなので)、手間と時間を考えれば効果的であると考えています。

 

滞納は完全に解決するのが難しい問題です。

 

相手の事情も(同じマンションに住む同士という感情面もあるので)汲みたいところですが、ほかの区分所有者が平等に負担している管理費等の義務を果たしていないという“罪”は重いと考えなければいけません。

 

拙速に強制執行を求めるのもいかがなものかと思いますが、滞納の事実を把握し、時効によって責任を逃れる=逃げ得を許さないように、時効を止める措置だけはとっておくのが、最低限の理事長の責務であると思います。

 

参照:http://www.nikkei.com/money/features/37.aspx?g=DGXMZO7898980028102014PPE001