診断をして安心を得るか改修の費用負担と資産価値毀損に怯えるか、それが問題だ #マンション管理

photo by Aldaryn Grayraven

 

マンション管理業協会が調査した耐震診断の実施率についてのニュースに注目。

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耐震診断実施率、組合数・棟数ともに増加/マンション管理業協会調査|R.E.port [不動産流通研究所]

 

 

 

 

耐震診断実施率、組合数・棟数ともに増加/マンション管理業協会調査

(一社)マンション管理業協会は20日、第3回(平成25年度第1回)「旧々耐震基準マンション耐震化フォローアップ」実施結果を発表した。マンション長寿命化協議会(座長:齊藤広子明海大学不動産学部教授)の提言を受け、半期ごとに年2回、耐震診断・耐震改修実施状況など耐震化の進捗状況の把握と、耐震化促進を目的に実施しているもの。調査対象は会員130社。

今回の対象管理組合数は929管理組合(第2回調査比15組合増)で、全会員社受託管理組合数(8万7,170管理組合)の約1.1%となった。対象管理棟数は2,330棟(同71棟増)、全会員社受託管理棟数(10万5,131棟)の約2.2%。

今回のフォローアップにより、簡易診断を実施した管理組合は123組合(同39組合増)、棟数が349棟(同62棟増)。精密診断が146組合(同28組合増)、棟数が205棟(同38棟増)。いずれかを実施している管理組合が242組合(同40組合増)・実施率26.0%(同3.9ポイント増)、524棟(同70棟増)・実施率22.5%(同2.4ポイント増)といずれも増加した。

第2回フォローアップ後の耐震改修実施状況は、耐震改修を実施した管理組合が62組合(同3組合増)・実施率6.7%(同0.2ポイント増)、82棟(同6棟増)・実施率3.5%(同0.1ポイント増)と微増していた。

また、東京都特定緊急輸送道路沿道建築物の対象となっているマンションの棟数は95棟(同1棟増)。耐震診断を実施したものが64棟(同17棟増)・実施率67.3%(同17.3ポイント増)となり、条例の効果が表れている結果となった。

 

都内の特定緊急輸送道路の指定がかかっているマンションについては耐震診断しなければならない条例であるので、これが数字を押し上げている一因になっているようです。

ちなみに、私が関係しているマンションではこの対象にはなっていませんでした。

補助金が出るというので一応調べてみたのですが、逆に対象になっていなくてよかったな、というのが正直なところ。

簡易診断だけでも数百万円で、補助金が出ても半分戻るかどうか。しかも本診断が必要となれば桁違いの改修費用が必要になります。

これを怖れて、耐震診断に踏み切れないマンションはやはり多いのではないでしょうか。

行政も、実態の把握を急ぐあまり、ダメ物件をあぶり出すだけで、建て替えやそのための融資といったケアの条例の整備をおざなりにしている感は否めず、諸手を挙げて耐震改修を進めて安全なまちづくりに協力したいという雰囲気にはどうしてもなれません。

耐震改修が必要となれば、資産価値が大幅に下がることも足を引っ張る原因のひとつ。安全を優先するのであれば、投げ売り状態で廃墟となる状態にならないような対策も必要でしょう。

マンション管理業協会傘下のマンション管理会社は右から左で耐震診断を勧めてくるかもしれませんが、管理組合の立場としては、安全の確保とともに、資産価値の保全とのバランスも考えながらこの問題を考えなければいけないでしょう。