マンション管理組合がリバースモーゲージをするという発想

高齢化と管理費・修繕積立金等の支払いが困難になるケースが増えることが予想されます。

そんななかで、マンション管理組合がリバースモーゲージを提供しているケースがあるというので、調べてみました。

 

西京極大門ハイツの事例

管理費払えなくなっても住み続けられる安心

一級建築士・マンション管理士で、マンションコミュニティ研究会代表の廣田信子氏のブログの記事です。

管理費滞納に対して、1ヵ月であってもしっかりと督促し、その際には遅延損害金を請求することで効果を上げているそうです。

これには賛同します。

そして、払えなくなる人を早めに炙り出す効果もあります。

払えなくなりそうな人は「見捨てる」のではなく、手をさしのべています。

その際に用いているのが、リバースモーゲージ。

 

リバースモーゲージの仕組みと問題点

リバースモーゲージとは、売却益を前倒しで受け取ることができて、住み続けることができるとうたった仕組み。

相続が発生してから処分するのでは時間が限られて買い叩かれるなどのマイナス要因も多くなります。

事前に売却してしまうと、売却益を被相続人が使うことに多くの成約が生まれてしまいます。

そこで、リバースモーゲージを利用することにより、生前に持ち家や所有マンションを資金化して、老後の生活に活用することが可能になります。

「老後破綻」を回避できる有効な方法として注目されるべき方法のひとつなのですが、問題もあります。

こうした「老後破綻」などの不安をあおり、必要のない人にもリバースモーゲージを勧める業者がいるのです。

「良い方法」であれば問題ないのかといえば、そうでもないからや厄介なのですね。

こうした業者は査定を安く見積もり、適正な取引価格からかなりかけ離れた金額でリバースモーゲージの契約を取り付けてしまいます。

つまり依頼者は、大切な資産を、「買取で資金化してもらうほど差し迫っていない」のに「安値で手放した状態にさせられる」ことになるわけです。

悪徳業者の事例では一般的な買い取り価格の1/2や1/3というものもあるようなので、まさに「騙し取られた」ということになるのでしょう。

ところがしばらくは、買取金額を原資とした配当が振り込まれるので、深刻な事態に気がつくのが遅れてしまうのです。

 

マンション管理組合がリバースモーゲージを手がけるメリットと問題点

一般に、マンション管理組合と利益相反になると考えられるのは、一部の組合員に利益を誘導することになる決議を行なうことです。

管理組合が行なわなければならない業務の受発注によって、第三者が不当だと感じる利益を得るのがアウトだと考えます。

回りくどい書き方をしたのは、組合員が善意で業務を遂行して、常識的な範囲の利益を得るのは悪くないと思うから。

管理組合活動を円滑にするだけでなく、関係性の薄い業者に委託するより安心して任せることができたり、フォローも期待できるからです。

リバースモーゲージに関しての管理組合における利益相反は、原則的に組合員の売却に管理組合が直接的にかかわることがほとんど考えられないので、ないといってもいいでしょう。

もちろん、リバースモーゲージを扱う会社の関係者が主体的に管理組合役員となってかかわるのは問題になりそうですが、契約自体は管理組合が行なうものではないので、セーフと判断できそうです。

 

まとめ

むしろ、管理組合が窓口となって、組合員に「このような方法もある」ということを紹介するのは、将来的な空室による荒廃、管理費等の未回収リスクを減らし、組合員およびその相続人たちにとっても有効に活用できる選択肢を増やすアドバイスになるはずです。

不動産売買を含んだ話は、メリットになるからと言ってもなかなかナーバスな面も多いので、他人ながら近い存在の組合員同士だからこそ配慮が必要ですが、総会や理事会に付随した勉強会のようなかたちででも話し合える機会を作ったり、そのレポートを組合員に配布するようにしたりして、共有してもいいのではないかと思います。