マンション管理組合が対処すべき防災対策について

 

分譲マンションは、複数の所帯があることが前提となっています。普段はそれぞれの専有部分でプライバシーが守られて生活をしていますが、いざ災害が発生するとその境界は消滅して、共有している財産をそれぞれ協力し合って利用しなければならなくなります。

こうした事態に備えて、マンションで罹災したときにどうすればいいのかを取り決めておく必要があります。

その際の主体となるべきなのは、やはり権利者を代表すべき位置にある管理組合になるでしょう。

罹災時の管理組合の役割

災害が発生したときは、身を守る行動をすることで精一杯になります。

状況に関する情報が入り、なにかすべきことが判断できるようになってくると、どの範囲で自分が周囲にかかわればいいのかがわかってくるようになるでしょう。

とりあえずは自分の生活の確保を優先しますが、飲み水や傷の手当て、救助などに関しては、隣近所で融通しながら打開していく必要があります。

罹災時は緊急を要すると判断されるので、所有以外の専有部分に必要があると判断できれば立ち入ることになります。

その際に注意すべきことは、何号室の誰であると名乗ること、立ち入った目的を告げることを、継続的に発しておかなければなりません。

他人の部屋に勝手に入り込むのは原則的には犯罪行為です。それを緊急避難的に犯すので、後々のトラブルにならないように配慮すべきでしょう。

管理組合がやるべき防災対策

個人活動には限界があるので、あらかじめマンション全体で罹災時にどのような助け合いが可能かを話し合っておくことは重要です。

そのまとめ役として乖離組合が主体となることは、法的な権利関係をクリアするためにも必要と言えます。

管理組合がすべき防災対策は以下のようなものになります。

居住者名簿の作成

プライバシーに関する意識が高まり、名簿の作成が困難になってきています。しかし、安否の確認をはじめとした救護体制を整えるためには、どの部屋にどんな人が何人住んでいるのかをしっかりと把握しておく必要があります。

マンションの連絡先の名簿は、普段の生活のなかでも修繕の緊急対応などで必要となります。

マンション管理組合では、総会の議題として上程していれば、プライバシーを守るという大前提はもちろんありますが、ある程度強制的に個人情報を提供してもらうことが可能です。

いざというときの情報共有の基盤となる名簿の作成は、管理組合だからできる防災対策の筆頭と言えます。

防災用品

各家庭でも防災用品は準備しているでしょう。しかし、それだけですべてが対応できないことはいうまでもありません。

管理組合では、共有部分を管理するという役割の延長で、防災用品の備蓄などを行なうことが求められます。

エレベーター内の飲料水やトイレ、廊下の避難ばしご、非常灯などが考えられます。

非常用電源や、マンション全体の簡易トイレなども用意できれば、安心度は増すはずです。断水時にはトイレに不便をきたしますので、下水本管を使った臨時トイレの設置ができるようにするなど、管理組合総会の決議を経ればできるものもあるでしょう。

住民が集まって話し合うのであれば、総会決議を意識して進めるようにすれば、有意義な対策につなげる可能性を高くできます。

建物の耐震

管理組合でなければできない防災対策として大きなものに、建物の耐震対策があります。

これには多大な費用がかかり、生活への影響も少なくないため、慎重に進めなければなりません。管理組合理事会で閉鎖的に決めてしまうと、ヘソを曲げて話をこじらせる組合員が出ないともかぎりません。

委員会など理事会の下部組織を立ち上げて、話し合い内容をまとめたレポートを配布するなど、意見を全戸で共有しながら進めることが肝要です。

まとめ

いずれにしても、管理組合総会の議案には、必ず防災対策を入れて、継続的にマンション内で話し合うようにしておくことが、防災に対するコンセンサスを得やすい環境作りに役立ちます。

いたずらに不安を煽るようなことなく、しかし資産を守るという観点でマンション管理組合主導の防災対策を立てることは、組合員にも理解してもらいやすいアプローチになるのではないでしょうか。